ハラスメント問題は火事になる前の対応が重要です!

ハラスメント問題は早めの対処が重要

高の組織力を引き出す!
ンタルトレーナーの森川祐子です。

 

最近知り合いから、ちらほらと「ハラスメント」勃発について耳にします。

 

ハラスメントの知識を持っている人が、会社に対して問題提起したり、訴えを起こすというものです。もちろん、会社に対して声をあげるということは容易ではないでしょうが、なかには本人以上に家族や周囲の人たちが熱くなって、問題が大きくなっていることが見受けられます。

 

ひと昔前まで「ハラスメント」と言われる言動に対しては、「これくらいのことはしようがないな」と組織としても黙認していた会社がほとんどです。ところが今やそんな言い訳、言い逃れが許されるはずもありません。

 

そういう意味では、抜本的な意識改革が必要です。

 

特に従業員の年齢が高年齢化している、男女比がどちらかに偏りがある、雇用形態の差によって力の差が歴然と見受けられる場合には、より注意が必要です。「自分たちが昔指導を受けた時には、上司から怒号が飛ぶくらいのことはあたりまえだった」「コミュニケーションの一環のつもりだった。ハラスメントにあたるだなんて思いもよらなかった・・・」

 

ハラスメント問題において重視されるのは、「悪気はなかった」という行為者の声ではなく、受けた人が不快に感じるかどうかです。またハラスメント問題の先には、メンタルヘルス問題のリスクがあることも忘れてはいけません。

 

今回は、職場で多いとされる「パワハラ」「セクハラ」についてお伝えします。

 

自分の職場は大丈夫?という目線で、読み進めてみてください。

 

1、パワーハラスメント

職場におけるハラスメントの中で、最も多いのが「パワーハラスメント」です。

 

代表的なものとしては、上司が部下に対して、嫌がらせをするが、パワハラにあたります。

 

厚生労働省の定めたものは以下のとおりです。

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性

背景に、業務の適正な範囲を超えて、他の者に精神的・肉体的苦痛を与えたり、

勤務環境を害するような行為。

 

パワハラ上司6つの行為類型

 

 

イメージはパワハラ上司が部下に対してというものですが、中には、部下が上司に対して行うもの、専門的な知識を持っている人、社歴が長いなど「優位性」はさまざまです。

 

さて迷うのが、どういう言動がパワハラに当たるのか?これをパターン(行為類型)別に詳しく見ていきましょう!

 

1-1、身体的な攻撃(暴行・傷害)

殴る、蹴るといった暴力をふるうこと、怪我をさせる行為はあきらかにNGです。もちろん職場ですから、大怪我になることは少ないでしょうが、足をひっかける、灰皿を投げつけるといった威嚇する行為もこれにあたります。

 

そのほかにも、書類を投げつける、丸めた新聞紙などで頭を叩く、胸ぐらをつかむ、蹴飛ばした椅子が当たるなど。

 

職場内の地位・役職の違い等、優位にある立場の人間が、弱い立場の人に対して自分の優位性を見せつける行動としてあげられます。

 

1-2、精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言)

「私の言うことを聞かないとどうなるかわかってるんだろうな!」「ばか」「無能」

「あなたの学歴程度では」「そんなんで仕事しているつもりですか!給料泥棒!」

「会社のためにも、早く会社辞めてしまえ・・・」など

 

これらは脅し、侮辱、名誉毀損にあたります。ニュートラルな精神状態で考えれば、不条理なことを言われて黙っている理由はありませんが、相手が上司だからとか、自分に引け目を感じる理由があることで、反論できずにいることが少なくありません。また継続的に攻撃を受けることで、ダメージは大きくなっていきます。

 

1-3、人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずれ・無視)

上司との意見の食い違いがあってから、自分だけ仕事に必要な情報や資料がまわってこない、一人だけ席を別室に置かれる、話しかけても無視をされるなどがあります。

 

そのほか、歓送迎会や飲み会の席など、一人だけ声をかけてもらえないというものも典型的な例です。

 

”職場内の優位性”にはどのようなものがあるでしょうか。上司部下という関係性だけでなく、勤続年数の長い社員や、業務を指導する立場にある先輩、専門的な業務を行なっている社員、発言権のある社員など、”優位性”はいろいろあります。

 

1-4、過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制)

「一晩では、とてもこなせない業務の量を命じられた」というような例です。

特に取引先に出向している場合は、容易に「NO!」が言えずに毎晩徹夜してしまう・・・というようなことも。

 

その他、業務上の些細なミスについて見せしめ的・懲罰的に就業規則の書き写しや始末書の提出を求めたり、能力や経験を超える無理な指示で他の社員よりも著しく多くの仕事をさせることは、「過大な要求」型のパワハラに該当することがあります。

 

1-5、過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること)

例えば、

・営業職として採用された社員に営業としての仕事を与えずに草むしりばかりさせる
・ベテラン社員にもかかわらず、意味のない作業や単純作業しかさせない等、能力を発揮できない仕事をさせる
・「お前は仕事をしなくていい」と言って仕事を与えずに放置する

等が該当します。

 

ポイントは「業務の適正な範囲」を超えるパワハラなのかどうか?です。

行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかがポイントです。

 

1-6、個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

有給休暇を取得して旅行に行こうとしたところ、上司から「誰と、どこへ行くのか、宿泊先はどこか」などと執拗に問われ、結局有給休暇の取得も認められなかった・・・

休みの日は何をしているのか?付き合っている人はいるのか?結婚はいつなのか?等、私的なことに過度に立ち入ることが該当します。

つまりは管理職者が「管理の目的」ではなく、管理職としての優位性を利用して、私生活や休日の予定を聞いてきたり、携帯電話やロッカーなどの私物を覗き見たりすることはNGだということです。

 

以上が、パワーハラスメントの行為類型の解説でした。今回、厚生労働省の「明るい職場応援団」のページを参考にしています。

 

 

2、セクシャルハラスメント

ハラスメント問題において、最初に話題になったのが「セクハラ」ではないでしょうか?

 

しかしながら「セクハラ」という言葉は知っているけれど、「職場におけるセクハラ」が具体的にどのような言動をさすのか、基準や認識にはバラツキがあるようです。

 

セクシャルハラスメントとはどういうものなのか、定義づけたものがあります。

「職場」において労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの

対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること。性的な言動が行われることで

職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること。

*厚生労働省HPより

 

セクハラ上司の行為類型2つ

 

定義となると、少々堅苦しい印象がありますが、つまりは”性的なことに関する嫌がらせ”、そのことに対して、「NO!」を言ったために、仕事がやりづらくなること、また働きづらくなり能力が発揮できなくなることをさします。

セクシャルハラスメントのパターン(行為類型)2つを、具体的にご紹介します。

 

2-1、対価型セクシュアルハラスメント

性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給などの不利益を受けること

 

例えば、上司や先輩から二人っきりで食事に誘われ、快く思わずに断った場合、翌日から仕事の情報が回ってこない、部署を異動させられる、降格させられるなどが、対価型セクハラに該当します。

 

この手の問題の難しいところは「食事に断られたから、降格した」とはなりません。表向きの理由は「能力不足、指導力不足」などもっともらしい理由がつきます。本人も能力不足と言われれば、仕方ないのかなと受け入れざるを得ません。しかし心のどこかでは「あの時食事の誘いを断ったから・・・?」と思ってはいても、なかなか言い出せません。

 

その他にも

・正社員から「つきあってほしい」と言われ、派遣社員が丁寧にお断りしたところ「来期の更新はない」と言われる。

・人事考課などを条件に、性的関係を求める

・性的な好みの差で、雇用上の待遇に差をつける

などです。

 

上司部下だけでなく、雇用形態の差、取引先と営業職など、力関係があるところに発生しやすいということがわかります。

 

2-2環境型セクシュアルハラスメント

労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど

その労働者が就業する上で見過ごせない程度の支障が生じること

 

職場で「性的な話をする」「通りすがりに体や髪に触れる」「宴会の席で裸になる(強要する)」など、本人は冗談や場を盛り上げるつもりでやったとしても、中には不快に感じる人がいるかもしれません。

 

このような言動は、職場の文化として根付いてしまっています。ずっとこういう雰囲気やノリでやってきたから、誰も意見することができないのかもしれません。上司も注意しない、あとから入ってくる後輩などは、先輩の様子をみて真似をしますから、性的な話題がよしとされてしまいます。

 

また不快に感じたとしても、その場の空気を乱したくないという理由から「NO」を言い出しづらいということは容易に想像できます。だとしたら、我慢しているか、我慢できず職場を去ってしまう人もいるかもしれませんね。

 

3、まとめ

 

重要なことは、うちの職場にはハラスメントなんていうものは、一切存在しない!と決めつけてしまうのではなく、そのようなことが起こるかもしれないという目線で見て、考えてみることです。

 

管理する立場の人間から見れば、ハラスメント問題はない方がいいに決まっています。だから「うちの会社にはハラスメントない」ではなく、リスク管理の一環として、対処していくことが重要です。

 

具体的な対処法としては、

研修などを通して、どのような言動がハラスメントにあたるのかを、全社員に周知徹底する
→認識がバラバラだと、改善しようがありません

組織のトップが「ハラスメントは許さない」という態度を示すこと
→ハラスメント研修などで
研修開始時代表者から意思表明してもらうだけで、参加者の意識が変わります!!

行為者に対する処分を明確にする
→就業規則にどのような言動がハラスメントにあたるかかを書くだけでは不十分です。
罰則まで明記することで抑止力になります。

相談窓口を設置する
→ほとんどの企業では、人事部もしくはそれに近い部署の担当者が窓口対応をしているケースが多いです。
身内に相談しづらいという声がある場合には、外部の委託機関もあわせて案内するといいでしょう。

 

【外部委託機関】

総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)

法テラス(日本司法支援センター)

みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)

 

組織のなかで、相談を引き受ける人たちも、この手の問題を一人で抱えないことです。
会社のトップを巻き込み、上司や外部の専門家に相談をしながら、取り組んでいきましょう。継続的な取り組みが働きやすい会社づくりにつながります。

 

代表 森川 祐子

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