メンタルヘルス問題!部下のいつもと違う様子が気になるけれど、どうしたらいい?
最高の組織力を引き出す!
メンタルトレーナーの森川祐子です。
メンタルヘルス問題、ハラスメント問題など共通して言えるのが、「社員の様子がこれまでと違う…」ということに気づいていたのだけれど、どうしていいかわからなかったという声です。
これは、実際に問題が大きくなった会社などで尋ねられた時に、「何だかいつもと様子が違うことには気づいていたんですよね」という声がほとんどです。つまり、気づいていながら、放置してしまった。あの時に手を打っていたら、これほどの問題にならなかったのに、というのが、メンタルヘルス問題のつらいところです。
では、気をつけるべきポイントを見ていきましょう。
目次
1、メンタルヘルス不調のサインとは具体的にどのようなものなのですか?
職場で見られるメンタルヘルス不調のサインを見てみましょう。
(1)『いつもと違う』様子の例
□遅刻・早退・欠勤が増える
□休みの連絡がない(無断欠勤がある)
□残業や休日出勤が不釣り合いに増える
□表情に活気がない
□衣服が乱れたり、不潔であったりする
(2)『仕事ぶり』の変化
□以前は素早くできた仕事なのに、時間がかかるようになった
□以前は正確にできた仕事なのに、ミスが増えた
□通常(ルーチン)業務にてこずるようになった
□取引先や顧客から苦情が増えた
□期限に間に合わないことが増えた
2、メンタルヘルス不調のサインが見えたら、まずとるべき行動とは?
鉄則!放置しないことです。
何か気になるな〜ということがあれば、その人の様子から窺える気になることを聞いてみてください。
例えば「最近夜、寝れてる?」「ごはん、食べれてる?」「元気がなさそうだけれど、気になることでもある?」等”あなたのことを気にしていますよ”というメッセージを投げてみてください。
もともと信頼関係がある、もしくは自分からしゃべることに抵抗がない人であれば、気になっていることを話してくれるかもしれません。
積極的に話してくれない場合でも、上の項目で3つ以上あてはまるようでしたら、時間をとってヒアリングしてみることをおすすめします。
そして、最初に「悩んでいることがあるとすれば、それは仕事のことですか?プライベートにかかわることですか?」と聞くとよいでしょう。
なぜならプライベートな事柄(家族や家庭問題、借金問題、女性問題等)を聞きすぎてしまうと、こちらも対処に困ることがあるかもしれません。また個人的なことを根掘り葉掘り聞くということにも、パワハラ(個の侵害)として捉えられてしまうこともありますから、最初にたずねるとよいと考えます。
気にかけていて、聞き出そうとしたという事実はとても重要です。
それで本人が話すかどうかは、本人次第です。それでも管理監督者として、会社としてヒアリングを行おうとしたということが大切なのです。
そのため効果的なメンタルヘルス対策として
3、メンタルヘルス専門家のサポートを導入する!
心理カウンセラーが職場に定期的に訪問し、従業員の話を聞くサポートです。これは一つの場所に100名以上の従業員がいる場所が効果的だと考えます。例えば、工場の生産ライン、コールセンター、IT(SE)、病院などです。(100名未満の職場では、訪問頻度を抑えれば導入は可能です)
「上司が自分のことを気遣ってくれるのはありがたい。けれど本当のことを話したら評価が下がるのではないかと不安だ」と思う部下はなかなか本音を話しづらいかもしれません。
また同じ職場の人には言いづらいということもあるため、第三者の人間である心理カウンセラーというのは、ある意味相談しやすいといえます。
私が以前、駐在していたコールセンターでは、週5日(月〜金)午後の時間をカウンセリングの時間に充てていました。コールセンターは200名ほどの女性ばかりの職場で、勤務時間中に週に一回利用できる仕組みになっていたため、繁忙期でない限りは、ご利用されていました。
ただし、やはり専門家を入れるとなると、コストがかかります。また導入すれば、心理カウンセラーとの連携でやりとりが生じますから、人事労務部署で担当者の業務は増えるかもしれません。
しかし、もしメンタルヘルス問題で、訴訟問題となり賠償請求で仮に200万円が確定したとしたらどうでしょう。200万円の売り上げを上げるためには、業種にもよりますが10倍の売り上げが必要とされます。設備や人件費としてプラスのものを生み出すものではないのですから、やはり高額だといえるでしょう。
200万円なんて高額な賠償請求はそうそうないのでは?と思われるかもしれませんが、メンタルヘルス不調から自殺などの問題に発展すれば、損害賠償額は数千万円〜1億円を超える判例もあるほどです。
それを思えば、専門家を置くということで例え100万〜200万円を投資したとしても、CSR(企業の社会的責任)に取り組む企業としても評価されるでしょうし、もし労働問題に発展した場合でも、「この会社は心理カウンセラーを設置し、従業員の職場環境を積極的に行おうとする企業」ということも考慮されることでしょう。
今や各自治体においても、地域貢献型企業として認定されれば様々なメリットも受けられるので、今後は企業の姿勢ということがより求められるようになります。
3、まとめ
メンタルヘルス問題のリスクは企業規模とは関係なく、起きるものです。だとすればそのリスクに対していかに準備をするかが重要です。
企業規模が大きくない組織だと、どうしても従業員のサポートといったことにまで経費をかけられないという会社も少なくありませんが、リスクは大小かかわらず、同様にやってきます。ただ思い立って準備を始めたところで、1、2ヶ月でメンタルヘルスへの意識が高まるものではありません。しかし「やばい!」と思われたなら、いまから準備していくことをおすすめします。