メンタルヘルスと生活習慣「睡眠」「食事」「運動」の関係
最高の自分を引き出す!
メンタルトレーナーの森川祐子です。
先週は生命保険会社のコールセンターSV(スーパーバイザー)向けメンタルヘルス研修でした。
コールセンターは顔の見えない不特定多数を相手に、やりとりをするため、非常にストレスがたまりやすい仕事だと言えます。しかし現場での様子をお聞きすると、SVをはじめオペレーターの仕事を継続できる人というのは、ある程度気持ちを割り切って対応できる人だったり、ストレス解消が上手な人が多いのではないか、と感じました。
なのでその反面、割り切りが上手でないと、悩みを抱えてしまい、落ち込みからなかなか回復できない人も少なくありません。うまくストレスをマネジメントしていただきたいですね。
ストレスの解消法は星の数ほどありますが、前提として、重要なポイントが3つあります。これが整っていなければ解消法だけでは対処しきれません。
前提とは・・・?メンタルヘルスを支える3つの習慣をお伝えします。
目次
1、メンタルヘルスを支える”質の高い睡眠”
「日常的に睡眠時間はどれくらい取れていますか?」
研修でこの質問をすると、6時間未満という方がどの職場でも半数近くいます。もちろん5時間未満という方もちらほらと・・・睡眠が大事というこは理解されているようですが、実践できるかどうかは別問題のようです。
1-1、なぜ睡眠が必要か?というと
2013年国立精神・神経医療研究センターより「睡眠不足によって不安・抑うつが強まる」という発表がありました。
睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明
研究内容は14名の健康な成人男性に、それぞれ5日間十分な睡眠と4時間半程度の睡眠をとらせ、メンタルヘルスにどのような影響が出るか実験を行ったものでした。十分な睡眠をとっている期間と睡眠不足の期間中、<幸せ><恐怖>の感情を表した写真を見せ脳の活動を調べます。
結果、睡眠不足時に<恐怖>を表した表情の写真を見ると左扁桃体という記憶や情動の制御を司る部分が活発になったそうです。しかし一方で<幸せ>な表情をしている写真を見ても扁桃体が活発になることはなかったそう。
ここからわかることは、睡眠不足はネガティブな刺激に反応しやすくなるということです。
1-2、睡眠の長さについて
「睡眠時間はどれくらい確保できればよいですか?」との質問をされますが、正解はありません。しかしながら一般的には6〜7時間程度は確保すべしというのが一般的なようです。加齢とともに睡眠時間が短くなる傾向も報告されています。
目安としては、起床時に「あ〜あ、よく寝た!疲れが取れた」という感じが得られることや、日中眠気がないことが大事だと考えます。たまにショートスリーパーと言われる人は3〜4時間でも大丈夫だそうですが、私はあまりお会いしたことがありません。
1-3、質の高い睡眠をとるために
質の高い睡眠をとるために、気をつけたいことは・・・
- 寝る前の刺激物(カフェイン・タバコ)は覚醒作用があるためなるべく避けましょう。
- 朝、目ざめた時に朝日を浴びて、体内時計をリセットする
- 起床時間をそろえる(就寝時間が同じでなくてもよい)
- 眠くなってから床につく
- 規則正し食事と軽い運動
環境を整えることであれば、少し工夫するだけで可能になります。
ぜひ今夜から試してみてくださいね。
次は、食生活についてです。
2、メンタルヘルスを支える食事とは
心の健康と食事?関係があるのだろうかと思う方もいるかもしれません。
しかしながら、実はメンタルヘルスと栄養は深い関係にあるのです。
2-1、メンタルヘルス不調と食事の関係
メンタルヘルス不調の代表的なものと言えば、”うつ”。
心の不調=脳内の状態がそのまま反映されます。”脳内物質”や”脳内ホルモン”という言い方をしていますが、これらが適切に分泌されない(生合成されない)状態が、いわゆるうつを引き起こす原因だと考えられます。
脳内物質を作る材料となるものは何でしょう?そう食事=栄養素が材料となっています。なかでも代表的なもの”セロトニン”と言われるものが、私たちの情緒や睡眠に深くかかわっています。
セロトニンが不足することで、気持ちが不安定になり、落ち込み、強い不安感、イライラなどを引き起こしています。またうまく眠れないというのも、セロトニンが不足することが要因だと考えられています。
では、セロトニンはどのような食事=栄養素が材料になっているのでしょうか?
2-2、幸福のホルモン”セロトニン”と食事の関係
セロトニンが作られるためには、もちろん材料が必要です。その材料となるのが食事=栄養素です。
栄養素・・・どのようなものがあるでしょうか?昔、家庭科の授業で「六代栄養素」って学びましたね。そのなかでも”セロトニン”の産生に必要なものは、タンパク質、ビタミン、ミネラルが重要だとされています。
しかし日常生活において、口にする機会の多いものは、炭水化物(白米、パン、麺類、菓子、お酒)や脂質ではないでしょうか。肉や魚を代表するタンパク質には、乳製品や大豆製品はあるものの、量が摂れません。しかし肉・魚は調理が必要なので、時間のない時などは手軽に食べられるもの(炭水化物など)が多いように思います。
ビタミン、ミネラルも摂取しようと思ってもかなり微量であるため、よほどしっかりと意識して摂ることが必要です。
出典:溝口徹氏「うつは食べ物が原因だった」より
3、メンタルヘルスと軽い運動
運動と睡眠と食事、これらは相互に影響しあっています。運動を行うことで適度な疲労感によって睡眠が促され、食欲も増します。ある一定のリズムのある運動は”セロトニン”の分泌にも深くかかわっていることがわかっています。
リズム運動というと、ウォーキングをはじめ、ジョギングやダンス(フラなどの一定のリズムが感じられるもの)が挙げられます。ガムを噛むなどということもこれらにあたります。
なので、犬の散歩や誰かと一緒に行うジョギングなどは、自分のペースで継続することができないため、一人で集中して行える状態が望ましいと考えます。
例えば、ウォーキングですが、目安は5分〜30分だと言われています。運動が苦手な人は疲れ果てるまで行う必要はありません。むしろ30分以上継続してヘトヘトになってしまってはセロトニン神経の抑制効果により逆効果になってしまいます。
セロトニンが活性化されると、心もポジティブになり、自律神経も整うことで、毎日の目覚めが快適になったり、頭がクリアな状態になります。また、姿勢や表情が綺麗になる等、良い変化が多々起きます。効果が持続するのは運動後30分から1時間程度ですが、毎日続けていくことが大切です。
続けていく事がなぜ大切かと言うと、だいたい3ヶ月継続すると、セロトニンが鍛えられて神経構造が変わるからですね。ボディビルのトレーニングで3ヶ月で身体が変わるように、セロトニンの神経系統も変化するのです。
4、まとめ
いかがでしたでしょうか。
メンタルヘルスタフネスを目ざすのであれば、実は特別なことをする必要はなく、まずは生活習慣を整えることが基本です。
質の良い睡眠とバランスのとれた食事、負担のない範囲での運動。これらは心の健康のみならず、身体の健康においても大切な要素です。心の容れ物である身体の状態がよいと、心も良い状態が保たれます。反対に身体の状態が悪くなれば、常にストレスに晒され、心もネガティブな方向に引っ張られてしまいます。
心と身体は深くつながっていることを忘れずに、大切にケアすることこそが、メンタルヘルスを強くすることにつながります。
代表 森川祐子