メンタルヘルス研修はどこに頼んだらいいの?研修会社、社会保険労務士、産業医?
最高の組織力を引き出す!
メンタルトレーナーの森川祐子です。
いざ、メンタルヘルス研修を依頼しようとなると、インターネットで「メンタルヘルス」「研修」などというキーワードで検索したりしていませんか?
調べてみると、ズラリとならぶ数々の候補。まずは研修会社のサイトが最初にくるでしょうか。そして社労士のサイトたまに産業医のサイト。どれも得意分野を全面に押し出しているため、違いがわかりづらいというのが実情です。けれどそもそもの専門が違うため、背景やその先にあるサービスが異なります。
目次
1、研修会社と社会保険労務士、産業医、それぞれの強みは?
1-1メンタルヘルス研修での研修会社の強み
研修会社が実施するメンタルヘルス研修は、さまざまな研修内容があります。
例えば、研修会社と一口にいっても、総合商社のようになんでもコンテンツがそろっている研修会社もあれば、専門分野をもつ会社
- ビジネスマナー系
- マネジメント系
- メンタルヘルス系
等があります。
大手の強みはやはり講師陣が豊富ということでしょう。かと言って、その道一筋でやってきた専門系は、規模が小さなことを生かして、よりきめ細かなケアや研修後のサポートができるという点が強みですね。(もちろん研修のみの実施というところも多いですが)
大手研修会社の強みは、従業員向けの研修に際してのコンテンツがそろっていること。それも階層別研修といって、新人〜リーダー〜管理職〜経営者のように、それぞれの階層に合わせた研修が組めるところです。
メンタルヘルスに限っていえば、所属の講師は産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を持っている、社労士の資格をもっている、なかには産業医の資格があるという人が講師陣としてそろっているところでしょう。
1-2、メンタルヘルス研修での社会保険労務士の強み
では、社会保険労務士はどのようなサービスを提供してくれるのでしょうか?
今では社労士さんも、専門があり、助成金に強い先生や、年金問題に強い先生等さまざまです。
そして社労士さんの強みはなんと言っても日常的な業務管理の延長でのメンタルサポートができる点です。つまり、就業規則一つ作成するにしても、メンタルヘルス問題に強い社労士さんであれば、企業防衛を意識したものを作成してくれるでしょう。つまりは経営側、人事・労務サイドでのサポートが強いと考えます。
1-3、メンタルヘルス研修での産業医の強み
そして、産業医によるメンタルヘルス研修は、言うまでもありませんが、病気の知識はもとより治療に対しての多くの知識があります。よく考えれば50人以上の従業員がいる会社には産業医がいるわけですから、その先生がストレスチェックから研修までやってくれても良さそうなものですね。
しかし、実際はそうではないようです。一つには、医師ということからかギャラが高いということ。また先生もストレスチェックに対して、個人的に請け負うことに対して手間とリスクが高いことから、敬遠されているようです。
実際にお聞きした話ですが、昨今では、ストレスチェックの義務化もあったため産業医になる先生は多いようですが、意外に資格を取って終わりという先生も多いようです。
産業医の先生に求められることは、従業員の人が今の職場で継続的に働けるどうかを判断することです。ところがついつい専門的なところに目が向いてしまうということがあるようです。
そもそも産業医の役割の一つに休職していた従業員がいざ復職するとなった際、その判断を行うということがあります。休職していた従業員ももちろん自己判断というわけではなく、かかりつけの主治医のOKが出たからこその復職です。
しかしながら主治医はこれくらい回復していれば、復職できるだろうと判断したとしても、現場を知る産業医は、今はとても忙しいので、復職支援プログラムを受けてからの方がいいですよ、とすすめるケースもあります。ここで見極めを誤れば、また再発という可能性があるからです。
このように産業医は従業員が継続的に、健康な状態で働けるかを見極める役割を担っています。
ところが、このような例もあります。
精神科医のドクターが産業医として、ある会社の従業員のサポートをしていたところ、ある社員が”うつ”になったため休職し、自分のクリニックに受診することとなりました。ところが、いざ復職となった時に、自らの判断=産業医の判断となるため、客観的な判断が難しくなるわけです。これは会社としては困りものです。
2、ではいざ研修を依頼する時に、何を重視するかを決めること
これまで述べてきたように、メンタルヘルスケアという観点で見た時には、それぞれの強みがわかりました。けれど重要なことは自分の会社にとって、必要なのはどの部分か?ということです。目的別で考えれば概ねこのような感じです。
・従業員にメンタルヘルスの知識を周知したい→研修会社
・従業員のメンタルヘルスケアを行いたい →産業医
・人事・労務側でメンタルヘルス問題に対処できるようにしたい→社会保険労務士
そしてもう少し細かく分類してみました。
2-1、メンタルヘルス!それぞれの得意分野と不得意分野について
産業医 | 社会保険労務士 | 研修会社 | ブルーコンシャス | |
1.研修の実施 | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
2.病識 | ◎ | × | △ | ○ |
3.日常のケア | △ | × | × | ◎ |
4.制度(就業規則等)サポート | × | ◎ | × | ○ |
では具体的に解説していきます。
2-1-1、研修の実施
研修の実施において、やはり重視されるのは「登壇実績」です。どこの会社や組織(どれくらいの規模の)に、どのような研修を何回行なってきたのか?ということです。
自治体や官公庁であれば、同じような自治体・官公庁への登壇経験があるか、資格があるか、という点が見られます。
また、カリキュラム(プログラム)もどれだけ柔軟にニーズに応えられるかが重要です。組織の規模の応じて、求められていることはかなり異なります。人事・労務ご担当者によっては、事前のレジュメ提出や、講師面談などが行われるケースも少なくありません。
2-1-2、病識
病識はどういっても、医師である先生方の専門分野です。治療や投薬などの解説は実例を踏まえて伝えることができるでしょう。しかしながら、メンタルヘルスの研修においてはものすごい専門知識までは必要とされないケースが多いです。いかに従業員の皆様にわかりやすく、メンタルヘルスに関心を持ってもらうかということが重要だからです。そう言う意味では、ある程度の専門的なことがわかればよいと考えます。
しかしながら専門家の意見をお聞きになりたい場合には、弊社では提携の産業医による、サポートも提案しております。
2-1-3、日常のケア
日常のケアとは、研修を受けた後のサポートについてです。年に1、2回メンタルヘルス研修を実施したところで、知識は持ち得ても、日常的なストレスケアまで行うことは正直、難しいところです。もちろんそれで十分ということもあります。しかしながら、メンタルヘルス(場合によってはハラスメント)問題における訴訟問題が増大してきている昨今、研修を実施したというだけでは、会社側の従業員に対するサポートが十分だとは言えません。
そこで、継続的に従業員の方のメンタルケアを行なっていくことが重要だと考えます。弊社ではメンタルヘルスに詳しい講師だけでなく、現場経験豊富な対面でのカウンセリングを行う心理カウンセラーのサポートを提供することができます。
2-1-4、制度(就業規則等)サポート
制度的なサポートは、やはり社会保険労務士さんの出番!といったところですね。近頃では、社労士さんがメンタルヘルスの勉強をされていたり、産業カウンセラーの資格を持っている方が増えています。
重要なのは、メンタルヘルス問題と制度サポートがリンクしているかどうかです。しかしながらこの問題は実際に、従業員のメンタルヘルスケアを行なったことがある社労士さんでないと、実際に起きうるリスクが想定しづらいものです。
例えば、”うつ”と診断された部下がいた場合には上司が何を行うべきなのか、どういう言動や態度に気をつけるべきなのか?そして休職に入る前に確認しておくべきこと(書面で)や、伝えておくべきことなど、事細かにリスクを避けるべき対処法があります。それを理解している社労士さんであるかどうかが重要です。
そう言う意味で、社労士さんでも専門性が問われるわけです。
弊社でもノンストップサービスの一環として、提携社労士のサポートをさせていただくことができます。またメンタルヘルス研修も、このあたりのサポート体制を意識した(例:ハラスメント研修では、こういう場面では言ってはいけない、言うべき言葉がけ等)管理職研修を実施しております。
3、まとめ
いかがでしたでしょうか。メンタルヘルス研修を行うにあたって、参考になりましたか?
メンタルヘルス問題に対しても、様々な専門家がいる一方で、それぞれの専門性や不得意を理解していないと、会社に合わない研修を行なってしまう可能性があります。
また最近では、カウンセラーの資格もさまざまあり、比較的取得しやすくなってきています。つまり資格を取って、話すのがある程度得意な人であれば、研修はできてしまうことでしょう。しかしメンタルヘルスに対しての実際や、リスクということを理解していなければ、関連図書を読むのと同じことです。
まずは会社や組織、チームにとってどのようなリスクが潜んでいるのかを判断することから始めてみてはいかがでしょうか。まずは弊社にお気軽にご相談くださいませ。
代表 森川祐子