メンタルヘルス問題!復職の成功は休職段階で決まっている!

高の組織力を引き出す!
ンタルトレーナーの森川祐子です。

 

長期の休職に入っていた人が、いざ復職するとなった場合
「はい、わかりました。明日から出勤してきてください」とはなりません。

 

まあ、そこまで単純ではないとわかっていても、復職者の目線に立つと「復職できる状態になったらいつでも職場に戻れる」と思っているかもしれませんが、実はそんなに簡単ではありません。

 

厚生労働省の定めたガイドラインなどを見ると、イラスト入りでわかりやすく、復職のステップが書かれているので、そのように思ってしまうのも仕方がありません。この復職という段階こそが、労使問題に発展するかどうか、というほど企業にとってはリスクがあるところなのです。

 

復職がうまくいかなければ、その先には退職しかありません。当の本人にしてみれば、復職支援をしっかりしてもらえなかった、追い出された、というイメージが強くなれば、退職後の労災申請や損害賠償のリスクは高くなるのです。

休職段階から留意しておきたいこと

そのために休職段階から留意しておきたいことをまとめて見ました。

 

1、休職に入った段階で主治医にも復職基準を明確に伝えておく

 

前提として、産業医に”従業員の○○さんが休職に入った”ということを伝えておきます。そうすることで、これまでの定期健康診断の結果などを見返してもらいながら、休職中に留意しておくべきことを、まとめてもらいます。

 

休職中の過ごし方は、雛形としてあると良いでしょうが、その人それぞれ身体面でも不調を抱えているのなら、心理面との身体面双方からの留意点を含めておくといいですね。

・休職の規定
・復職に対する考え方
・個人情報の取り扱い
等です。

 

そしてこのまとめたものを、当の本人の了解をとった上で、主治医にも送っておくといいです。

 

なぜなら、いざ復職という時に、主治医の先生は、クライエント(=当の本人)の職場がどういう職場かはわかりません。特に眠れない、食べられない、気分が塞ぎ込むこともない、となれば「じゃあ復帰してみましょうか」くらいに捉えている先生もいるかと思います。

 

ただ、多くの企業がそうですが、楽な仕事をさせてくれる会社は少ないのではないでしょうか。
メンタルヘルス不調に陥るような環境があったことを考えれば、「とりあえず復帰」ということが難しいと予想されます。あらかじめ「ここまで回復していなければ、復職はできません」という基準を提示しておくことで、主治医の見解も変わってくるはずです。

 

もし本人が、主治医を変更した場合には、必ず会社に報告するようにしてもらい、同じ書面を再送しておくといいでしょう。

2、休職に入る時には、ご家族や産業医も同席した面談を行うことが望ましい

 

休職に入る際に、調子が悪いだろうから…となし崩し的に、面談することもなく休職に入ってしまうケースがあります。
ご本人にしたら、調子も悪いし、もしかしたら苦手な人がいる会社になるべく行きたくないと思われるかもしれませんね。

 

ただし、そこは少し先のことを見据えて、双方(会社と本人)の立場からも是非、面談を行っておくべきと考えます。

 

そしてできれば、産業医とご家族(親御さんや配偶者)も同席することが望ましいです。

 

家族まで?と思われるかと思いますが、”メンタルヘルス”について、ご本人はともかく、親御さんや奥様がメンタルヘルス研修を受けているわけではないので、あまりご存知ありません。そうすると、知識がないこと、理解がないことで、本来治るべきものも治らなくなるケースも少なくないからです。

 

一家の大黒柱が長期休職に入る。これはご家族にとっては不安でしかありませんよね。
だからこそ、産業医がいるところで、この先のことを見据え、回復に向けてのステップを理解しておいていただくことは、ご家族にとっての安心材料になるはずです。

 

このタイミングでご本人には、休職中や復職のタイミングで、会社(産業医)が主治医に情報提供を求めることを了承しておいてもらう(書面にて)といいでしょう。

 

会社にとって必要なことであるとともに、ご本人にとっても最適なステップを踏めるためのことである、との理解を促しておくといいですね。

 

3、いじめや嫌がらせがなかったどうかを確認しておく

 

休職時の面談で、必ず確認しておくべきことがあります。それは体調不良やメンタルヘルス不調の要因となるような、いじめや嫌がらせ、つまり”ハラスメント”がなかったかどうかを確認しておくことです。

 

休職中、メンタルヘルス不調などであれば、ハラスメントに対する不満について、声をあげようとするエネルギーはないかもしれません。ところがいざ復職で上手くいかない、じゃあ退職などということになれば「実はパワハラを受けていた」「セクハラの事実があった」等の理由で、企業を訴えることは十分あり得ます。

 

もちろん、面談時にそのようなことがあったとしても、言わないことも考えられますから、そのあたりは独自に周囲の人たち(同僚や上司)にヒアリングをしておくといいでしょう。

 

また過重労働などの事実についても、産業医に情報を持っていないか確認しておきます。医師には守秘義務がありますが、ハラスメントについては、個人情報にとどまらない組織の問題(訴訟につながりかねない)であることを理解してもらい、了承を取るとよいかと思われます。

 

今やハラスメントは専用の窓口を設けている会社も少なくありませんが、それでも利用しづらいものです。できれば本人の口から話してもらうことが望ましいです。しっかりと傾聴し、事実が確認出来次第、規則にのっとって、然るべき処分を行う、また本人に報告することも忘れないようにしてください。

 

もちろん、ハラスメント問題が未然に防げることがいい、ということは言うまでもありません。

ただ、対処法が整っていないからといって、放置は絶対にいけません!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?このような流れで復職を捉えることで、休職に入るタイミングに行っておくべきこと、その重要性がご理解いただけたかと思われます。

 

休職時から、しっかり対応することで、信頼関係も築くことができるでしょう。訴訟問題のほとんどは、不満や怒りなどからくる感情的なものが根底にあります。そうならないように、休職段階から意思疎通をとっておくことが、復職までのステップをスムーズなものとしてくれます。

 

休職から復職への規定がない会社は今から、整えておくとよいですね。

 

代表 森川 祐子

参考図書:労務・社会保険法研究会「企業のうつ病対策ハンドブック」

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